新潟教育

新潟市の教育を教職員の組合活動を通して考えていきます。 中の人は複数。関心もそれぞれ。多彩な内容を目指して。

新学習指導要領

 2017年に告示された新学習指導要領には初めて前文が小学校・中学校にあります。この前文は小学校は「児童」、中学校は「生徒」と小学校は「中学校以降の教育」、中学校は「高等学校以降の教育」の文字の違い以外は、文面はすべて同じものです。
 最初に教育基本法第1条の目的と第2条の目標を達成するように述べています。後者は5つの目標を掲げていますが、なかでも道徳の教科化をみても、5つ目の「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」がいわゆる愛国心を謳っている条項が文科省を重要視していることは間違いありません。
 次に「社会に開かれた教育課程を実現する重要となる」とし、「学習指導要領が教育課程の基準を大綱的に定める」としています。
 その上で、学習指導要領の果たす役割として、第一に「公の性質を有する学校における教育水準を全国的に確保すること」とし、「学習指導要領を踏まえた教育活動の更なる充実を図っていくことも重要である」と書かれています。「教育水準の全国的な確保」とは「学力」について論述していることになります。それは各教科の学習指導要領に書かれていることが「学力の内容」ということといえます。学習指導要領に即していないことは、「学力」とは認めないという宣言です。第二には、「生徒(児童)が学ぶことの意義を実感できる環境を整え、一人一人の資質・能力を伸ばせるようにしていくことは、教職員をはじめとする学校関係者はもとより、家庭や地域の人々も含め、様々な立場から生徒(児童)や学校に関わる全ての大人に期待される役割である」とあります。これは「環境を整え」とあるので、学校教育の条件整備をすることだと思いますが、違うようです。後半の文から「大人に期待される役割」とありますので、生徒(児童)の見本となる大人の役割を強調しています。道徳的な価値感を論述しているようです。
 新学習指導要領はこの前文を掲げることで、道徳「教科化」を押しすすめるためのものだということは明らかです。
 道徳「教科化」の歴史は3つの節目がありました。第一は、1958年「道徳の時間」(教科外活動)の特設です。このときには学習指導要領の官報告示との連動がありました。第二は、2006年の教育基本法改正で第2条「教育の目標」を掲げました。これは上記にあるように「愛国心」条項、「態度を養う」規定を設けて、道徳規範の肯定をしました。学習指導要領「道徳」に対応し、文科省告示の法律規定への格上げを図って、徳目を強制しました。学校教育の道徳教育への収斂といった3つの問題点があります。第三は、2017年の中教審の道徳「教科化」への答申です。内心ではなく態度を評価することですから、評定をしなさいとなります。学校現場では「無理だ」という声が噴出しています。
 この状況は戦前の教育勅語体制に酷似します。そのために、「教育勅語」を見直す動きが出ています(新潟市は議会で市長、教育長が学校教育に活用することを否定しました)。そもそも公教育が、道徳という諸個人の内心的判断に委ねられるべき領域に踏み込むべきか否かという原理的な問いに直面します。この点で、フランスの教育思想家コンドルセが、「親の権利」や「思想の独立性」などを理由として、公教育は道徳教育に及ぶべきではなく、知育のみを対象とすべきであるとしているのは示唆的といえます。
 
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