新潟教育

新潟市の教育を教職員の組合活動を通して考えていきます。 中の人は複数。関心もそれぞれ。多彩な内容を目指して。

坂の上の雲

 NHK大河ドラマが「龍馬伝」が終わり、12月5日から「坂の上の雲」の第2部が始まります。
 この作品は司馬遼太郎さんのもので、松山出身者の短歌・俳句に新風を入れる正岡子規と兄が陸軍、弟が海軍であった秋山好古(よしふる)・真之(さねゆき)兄弟の3人の物語です。第2部では日露戦争がストーリーの中心になっていきます。
 この作品は、高度経済成長のときにつくられたもので120万部も売れた国民的ベストセラーでした。司馬さんは生前、この作品はどうしても戦争美化にとられるかもしれないということで、映像化することを拒んできました。NHKは韓国併合、大逆事件100周年にあたり、この作品をドラマ化しました。
 そもそも司馬作品は、一見「小説」を感じさせない目に見えないフィクッション手法を使い、登場人物の性格規定をくりかえし、司馬自身が本人になりきって発言するものです。確かに作品づくりに対する取材は新聞記者時代に培ったものがあり、読んでいても感心させられます。『国盗り物語』、『竜馬がゆく』『峠』などの司馬作品群がNHK大河ドラマになり、国民に史実だと勘違いされました。
 今、国民のなかにある坂本竜馬や織田信長像は司馬作品でつくられたといっても過言ではないでしょう。歴史学の「民衆史」では、信長でも秀吉でも家康でも米を食べなくては生きていけないことから、歴史は英雄だけつくられていない、名もなき民衆が支えていると言われてきました。そうした観点を持たない司馬作品は英雄史観だといえます。司馬作品は鳥瞰(ちようかん)図のように歴史をみて、英雄を描きます。ときには『空海の風景』ように1人の人物を描くことに成功している作品もあります。
 27日(土)、新潟市で「NHKドラマ『坂の上の雲』は真実を語っているか 『日本近現代史』を学ぶ」というテーマで、明治大学の近現代史専攻の山田朗教授(歴教協委員長)が講演を行いました。日露戦争とはどんな戦争であったのかを、その実態を国際政治・戦略面で検証する講演でした。2時間近くの内容をここでは全て紹介はできません。
 山田教授は近現代史は「戦争ー植民地支配ー言論弾圧」をセットにして理解すべきだと言われました。日露戦争でしたら、韓国併合ー大逆事件をセットでみることが必要といえます。『坂の上の雲』にはその視点は全くありません。山田講演を少しご紹介します。明治維新から近代日本はイギリスの情報を信じ、ロシア脅威論と朝鮮半島先取論に傾きました。「お雇い外国人」にはロシア人が1人もいませんでした。イギリスが南アフリカでボーア戦争をしていたために、日英同盟を結び東アジアをイギリスに代わって日本がロシアと対決する構図をつくります。戦費は外国の借金(外債)18億円をアメリカやイギリスから集め、ロシアと戦います。18億円は当時の日本の国家予算の6倍でした。武器弾薬が底をつき、日本はロシア軍に投石までしている始末です。この借金を日本が返すのは1953年で、50年間近くもかかっています。日本軍は日露戦争で失敗の原因を成功とし、陸軍の白兵主義(武器がなくても闘う)や海軍の「艦隊第一主義」が伝統とし残り、アジア太平洋戦争を「日露戦争の頭」で戦って敗北する結果になりました。中国・朝鮮人の状況は司馬作品に出てきません。
 「坂の上の雲」を山田講演のように曇りなき眼でみる必要があります。
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